───5月下旬。
夏希の誕生日。
…1年前、拓馬くんに振られた日。
今年は、夏希のマンションに集まっている。
「「ハッピーバースデー ディア 夏希。
ハッピーバースデー トゥーユー!!」」
みんながお祝いの歌が、部屋中に響く。
梓紗は、中心に手作りケーキを運んだ。
「ありがとう、みんな!!」
夏希は、ろうそくの火を一気に吹き消す。
「これ、あたし頑張ったと思わん?」
「あずの手作りなん!?
めっちゃすごいやん!!」
梓紗はケーキを小皿に取り分け、順番に回していく。
そのとき、夏希の薬指で輝く…あるものが目に入った。
「なぁ、夏希…」
「ん?」
「それ……」
彼女の薬指でキラキラと輝くのは…指輪。


