「ありがとうなぁ」


マンションの下で夏希と力也に手を振った。
2人は手を繋ぎながら、力也の家へと向かう。


「緊張してる?」


「…当たり前やん」


いつもより口数が少なく、おとなしい夏希。
それとは反対に、余裕の笑みを浮かべる彼。

家が近いので、すぐについた。


「いつも通りで、ええよ」


リビングに入ると、両親と姉のユメが椅子に腰かけていた。

何を言えばいいのか分からず、パニックになる。
とっさに頭を下げた。


「固まってらんと、はよ座りぃ、お腹に悪いで」


お義母さんの言葉に、目を丸くさせる。