「なっちゃん、この人に親になってもらいよー?
 なんか、未練がましいし」


レイはケラケラ笑いながら、力也を指差した。
その瞬間…力也は、レイを殴った。


「いったいなぁ、っなにすんねん!」


「簡単に言うなや!!
 俺は未練がましいよ、ずっと好きや。
 …でもな、俺が夏希を好きでも、そんな都合で親にはなられへん。
 好きなだけじゃ、あかん。
 俺が親になれるくらいの男やて夏希が思うまで、何も言われへん。
 それに…親になったれとか言う前に、お前が本物の親ちゃうんけ!?
 責任放棄して逃げたやつに、偉そうに言われる筋合いないんじゃ!!
 でも…本物の親以外に、代わりなんかないんやから」


…彼は背を向け、もと来た道を戻って行った。


「人の気持ち考えてから…もの言え」


拓馬はレイをきつく睨み、来た道を戻って行く。
それについていき、無言で歩き続けた。