その言葉は、こっちにまで聞こえてきた。

夏希は肩を震わせている。
梓紗は、震える彼女の肩を支える。

…拓馬は走って、力也の元に駆け寄った。


「夏希……」


「あたしも…向こう行く」


ゆっくり歩き出す夏希。
仕方なく、彼女に腕を絡めて歩きだす。


「お前、ちょっと来いや」


力也は物凄い険悪で、レイの胸ぐらを掴む。
だが、レイはピクリともせず、ただ笑顔。


「りっくん、…いいから」


夏希が止めに入り、力也は渋々その手を離した。