嫌じゃないけど、少し息苦しい。


「いくでぇ」


力也がボールを打ち、パスは続いていく。


「うわっ、飛ばしすぎ!!」


拓馬が返したパスが、風に揺られ遠くに飛んだ。
力也が、必死に追いかける。

ボールは、4人組の男女の前に転がった。


「あっ、すんません」


その中の男がボールを拾ってくれた。
力也は顔をあげ、お礼を言う。


「「あっ……」」


お互いに驚いた様子で、黙って目が合う。


「お前…」


力也は男をきつく睨む。
拾ってくれたのは、レイだった。


「んーっと…あ、誰か思い出したわ。
 なっちゃんの元カレや」


レイは力也を指差すと、わざとらしくでかい声で言った。