さらさらとした感触が、気持ちいい。
指の間を流れて、くすぐったいくらい。
…龍は手の砂を払うと、梓紗に手を差しだす。
「手…貸して」
龍は、弱々しくささやく。
いつもより悲しげな表情で、彼女を見つめる。
梓紗は手を差し出すと、龍はその手を強く握った。
「…好きな人が、違うやつと両思いやのに、お互い…離れようとするねん。
俺は、その人が幸せになるまで、諦められん…」
龍の方を見ると、真剣な表情で遠くの方を見つめていた。
かける言葉が…見つからない。
どう答えればいいのか、分からなかった。
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