後ろ姿




「……俺かて、ほんまは夏希のそばにおりたい。
 腹の子の親にかて、なってやりたい。
 でもな、夏希が俺を必要としてくれるまで…俺は、何も言われへん」


力也は下を向き弱々しく、でも…強く言った。

分かってる、分かってるつもり。
彼なりの、彼の気持ちがある。
彼なりの、彼の考えがある。

梓紗の頬に、涙がつたう。


「…怒鳴って、ごめん。
 でも、夏希のこと大事やから……俺は、待つことしかできへん」


悲しい瞳、寂しそうな表情。
力也は、彼女の涙を拭った。


「何も知らんのに…っすいません」


「あずちゃんは、夏希思いやな」


力也は微笑むと、彼女の頭に優しく手を置いた。


…息が、苦しくなった。
胸が、苦しくなった。


「夏希のこと…大好きなんですね」



力也は何も言わず、優しく微笑んだ。