後ろ姿




「お疲れ」


力也は梓紗に缶ジュースを手渡す。


「場所…移動しよや」


頷くと、前に迷って来た公園についた。

沈黙の中、2人はベンチに腰かける。
何も話さず、ただ一点を見つめる。

「あのさ…夏希は、その、産む言うてる?」


重たい空気の中、力也は口を開いた。
ゆっくり頷くと、力也は小さく溜め息をついた。

梓紗は溜め息の意味が理解できず、立ち上がる。


「…レイは、責任取る気は一切なし。
 ほんまに他人事みたいに言うてます。
 それでも夏希は、一人で育てる気なんですよ…!!」


声を張り上げて、力也を睨む。