夏希は梓紗の腕を引っ張り、無理やり立ち上がらせる。 「バイト終わったら、泊まりにきて…」 夏希は背を向け、弱々しくささやいた。 マンションを出て、バイト先に直行する。 自転車に乗り、春風を切りながら進み続ける。 …バイト先につくと、着替えてからレジ打ちを始める。 「いらっしゃいませ」 お客さんが来るたび、毎度毎度と挨拶。 必死に…笑顔をつくる。 作り笑いがバレないように、ただ黙々と。 でも…夏希のことでいっぱいで、ボーッとなる。