再び沈黙になり、重い空気が張りつめる。
何と、言葉をかければいいのか分からない。
簡単に話せることじゃない。
一言一言が、2人を苦しめる可能性がある。
…沈黙をやぶったのは、インターホンの鳴り響く音。
「あたしが出るわ」
梓紗は立ち上がり、玄関へと向かう。
扉を開けると…レイの姿がそこにあった。
顔を背け、目線を合わさずただ立ちつくしている。
言いたいことは、めっちゃある。
…でも、あたしが言える立場じゃない。
無言で部屋に通すと、力也は立ち上がり、レイの胸ぐらを掴んだ。
「お前、この状況……覚悟できてんけ?」
力也は低い声で、怒鳴りつける。
「やめてぇや!!」
夏希は泣きながら、力也を止める。
だが、力也は掴んだ手を離さない。