こんな力也くん、初めて…。

少し間をあけると、力也は静かに口を開いた。


「夏希が…妊娠した」


…夏希が、妊娠した?

力也の一言に、教室内はざわつき始める。


「あたし…聞いてない」


「…さっき分かったねん。
 不安や言うて、一緒に調べたら…」


力也は悔しそうに、下を向く。
瞬も状況を理解して、何も言わずに目を逸らす。


「頼むから…レイってやつ、呼んでくれ」


弱々しく呟き、頭を下げる彼は、いつもとは違って小さく見えた。