夏希は時間を確認し、カバンを抱える。


「まだ結構、時間あるな」


鼻歌を歌いながら、彼女はコテを取りだした。
屋上の角にあるコンセント口にコードを差し込み、髪の毛をセットし始める。


「全然、話読まれへんねんけど…」


首を傾け、彼女を見ると、お構い無しにセットを続けている。

…金色の髪の毛を手際よく巻き、前髪を整える。
その手つきに思わず見とれていた。

髪の毛のセットが終わると、次は化粧ポーチを取り出して化粧直し。

こうしてみると、派手な化粧が…前より少し、おとなしくなった気がする。

夏希は元から顔立ちがいいので、何をしても似合っている。