後ろ姿




梓紗は起きあがり、正座する。
急に改まる彼女を見て、夏希も起きあがった。


「この前…ごめん。
 渡されへんかったの、あたしのせいやんなぁ」


バレンタインの日のことを、夏希に謝る。

…拓馬くんが中に入らんかったのは、あたしのせい。
そのまま中に入ってれば、重い空気にならずに夏希は生チョコを渡せたはず。


「…あぁ、バレンタイン?
 なんで、あんたが謝るねん。
 あたしが、勇気なかっただけやん」


夏希はケラケラと笑い、再び寝ころぶ。

彼女はそう言ってくれたが、納得できなかった…。