後ろ姿




「……言いたくないんやったら、いい。
 でも、心配やから…。
 内田のこと…好きやから」


突然の告白に、ただ黙る。

沈黙が続く中、シュウは梓紗の髪をゆっくりと撫でる。
自分の方に彼女を近づけ、髪に口づけをした。

…何も抵抗しない彼女に、額から頬へと優しくキスを落としていく。

彼の優しさに、甘えていけない。

分かっていても、心の奥では甘えようという考えの自分がいる。


拓馬くん……大好き。
あたしは今でも、想ってる。

忘れらなあかんのに…、それが拓馬くんを苦しめずにすむ、あたしが唯一できることやのに…。

会われへんほど、あたしは忘れてないことに気づいた。
会わへん時間が長い程、余計に会いたくなった。

それがつらくて、苦しくて……。