その瞬間、この場にいるのが苦しくなり部屋を出た。
雨が降る中、傘もささずに走り続ける。


拓馬くんに…会いたい。
ずっと考えてなくて、でも、ずっと忘れてない。

今、どこで、何してるん…?

会いたい、会いたい、会いたい。


雨と共に、涙が頬をつたう。
立ち止まり、灰色の空を見上げた。

あたしの心の中は、ずっと…こんなん。
灰色の空は、しずんだ心。雨は涙。


「……内田!?」


後ろから名前を呼ばれ、足音が近づいてくる。
いつの間にか、傘の中にいた。

…ずぶ濡れのあたしに傘をさしてくれたのは…シュウくんだった。