…そして、バレンタイン当日。

昨日、何個か種類を作ってみた。
味はいける。見た目も…まぁ、いける。

あたしはケーキ、夏希は生チョコ。
夏希は力也くんの分だけ、違う袋にラッピングした。


「夏希やったら、絶対いけるっ!」


夏希の背中を、ゆっくりと見つめる。

久しぶりに…溜まり場にきた。
もう、半年以上は会ってない人ばかり。

力也くんとも、学校で話すくらいやし。


ドアを開け、ゆっくりと階段を上る。
一段一段、緊張感がただよっている。


「…こんにちは」


部屋の扉を開けると、変わらない顔ぶれ。
挨拶すると、驚いた顔をした人ばかり。


「うわっ、梓紗ちゃん久々やん!」


「全然、来てなかったもんなぁ」


あちらこちらから注目を浴びてしまう。
一礼をしてから、夏希の横に座った。


「…そういえば、今年も手作りしました!」


夏希は紙袋から、生チョコが入ったトレイを取り出した。
梓紗も急いで、ケーキを机の上に取り出す。

みんなが机に集まってきて、用意しておいたフォークで生チョコやケーキを頬張り始める。

゛美味しい゛とか゛最高゛と褒められ、嬉しくなった。