必死に堪えていた涙も、たえきれずに溢れだす。


…彼の過去を知り、苦しむ彼をほっとけない。
同情とかじゃなくて、今、自分の気持ちをはっきりさせた。


「あたしは…拓馬くんが好きです」


「俺は、やめとけ。
 あずには幸せになってほしい。
 俺は…幸せにできへん」


「拓馬くんにとって…幸せって、何ですか?」


拓馬の目を、じっと見つめる。

あたしの目を見て話して。
逸らさんと、ちゃんと見てよ…。

拓馬は目を細めて、彼女の頭を撫でた。


「あずが幸せなこと…」


我慢していた涙が、一気に溢れた。
止まることのない涙は、これでもかってくらいに次々と溢れだす。


部屋を飛び出し、家までひたすら走った。



ルイさん…ごめんなさい。

あたし、自分のことしか考えれてないです。
拓馬くんの苦しみを考えずに、拓馬くんと幸せになりたいとか…思ってしまいます。
ルイさんに、嫉妬したりしてしまいます。
こんなに拓馬くんに想われているあなたが、羨ましいです。

つらい彼を、あたしが余計に苦しめてはいけないのに…。