笑花の声には少し棘があった。
その声に笑花の父親はぐっと堪えたように見えた。
「…分かった。だが、今日はちゃんと家族で過ごすぞ」
「うん。あたしも笑里に会いたい」
笑花の笑顔に笑花の父親はほっと顔を見せる。
母親を連れて、静かに病室を出た。
病室には俺と笑花しかいなかった。
静かな空間でだけど不思議と嫌ではなかった。
笑花は外を眺める。
俺は何も言わずに、笑花が話し出すのを待った。
しばらくすると、笑花がゆっくりと口を開く。
「あたしが事故に遭ってから…どれくらい過ぎたの?」
「…だいたい半年だ。その間に笑里は俺たちの高校に入学したよ」
「…そう」
笑花はまた口を閉ざす。
その表情はなんだか複雑だった。
言うのを躊躇っているようにも見える。
無理もない。
笑花は今日までずっと意識が途絶えていたのだから…

