僕らは傷つきながら恋をする。




彼女は変わっていなかった。
半年間眠っていたせいか、目と声に違和感はあるらしい。
だが、それ以外は最後に見た『笑花』だった。



儚げな横顔も
何かを見つめる強い瞳も。



今までのことが嘘だと思うほど、当たり前にそこにいる。



「…特に異常はありませんね。この分なら、早く退院できますよ」



「ありがとうございます」




笑花の両親が頭を下げる。
医者はにっこりと微笑み、病室を後にした。



笑花の両親は俺のことなど気にも留めてない様子で、笑花に話しかける。




「笑花が目覚めて良かった。笑里も部活が終わったら来るそうだ。家族水入らずで久しぶりに過ごそう」



笑花はさっきまで伏せていた目をゆっくりと開ける。
おぼつかない目で両親を見る。



「お父さん…お母さん…。龍と…二人っきりにさせてくれない?あたし…龍と話したい」



笑花の父親は眉をひそめた。
じろりと俺を見る。



「龍くんと?龍くんならいつでも大丈夫だろう?折角だ。今日だけ家に帰る許可をもらった。家族で過ごせばいいだろう。龍くんなら、次の日からでも…」



「あたしは龍と話したい。…お父さん、お願い」