「友ちゃん、何か遭ったみたいなんだよね」
笑里の部活が終わった後、あたし達は近くのファミレスに入った。
飲み物を一口飲み、笑里はため息交じりにそう呟いた。
「朱羅、知らない?」
「全く。喋るけど、全然そんなこと言わないし…前よりも話す回数減ったかも」
今までは頻繁に話していた。
幼なじみだから当たり前だけど。
そんな当たり前が今は違っている。
学校以外で話さなくなったし、遊ばなくなった。
そう言えば…一緒に帰る回数も、登校する回数も減った。
気のせいかと思っていたけど、こんなことは初めてかもしれない。
あたしがそう話すと、笑里の表情がより一層曇る。
「…朱羅なら知ってると思ってたんだけど。友ちゃん、部活でもあんな感じで元気ないんだぁ。あたしや先輩が話しかけても『大丈夫、心配しないで』ばかりだし」
「友恵は…自分の悩みを打ち明けるの苦手だから」
はっきり物言いする子だけど、自分のことになるといえなくなる時がある。
自分の意見は言えても、自分の弱さを見せられない。
友恵はそんな子。それは昔からで、今も変わっていない。
「何か遭ったとすれば…龍先輩のことかな?」
「龍くんに聞いてみたけど、友ちゃんとは話してないって」
「龍先輩がらみじゃないんだ」
友恵が龍先輩に恋してることは知ってる。
だから、悩んでいるのは龍先輩のことだと思っていた。
もしかして…違う?
だとしたら、友恵は何に悩んでいるんだろう。
「…笑里は心当たりないの?」
「あったら朱羅に聞かないよ」
それはそうか。
あたしは静かに納得した。

