言葉を失う。
あたしが…龍先輩のことが好き?
「何…言ってるの?」
そんなはずないじゃんとあたしは笑い飛ばす。
だけど、電話口の笑里は至って平然としていて…
「あたしはそう思うけど?」
あたしが恍けているみたいだった。
でも、そんなはずはない。
だって、二人が龍先輩の事を好きなのが理解できなかったんだよ?
そんなたしが龍先輩の事を好きなんて…
そんなはずないんだから。
「笑里…違うよ」
「…そう。じゃ…ともちゃんの相談に乗ってあげて。あたしじゃ…きっと気を使って何も相談してこないと思うから。色々…悩んでいるみたいだし」
「うん…分かった」
一瞬、胸にチクリと何かが刺さった気がした。
なんだろう…この気持ち。
あたしは…好きじゃないはずなのに…
「ねぇ…笑里。恋って…どんなの?」
「恋…ね。朱羅の今の気持ち…は恋なんじゃないかな?朱羅…気持ちに気づかないままだと…後悔しちゃうよ?躊躇ってちゃダメ。友達でも…親友でも…想いを伝えなきゃ…自分が苦しんじゃうんだよ?」
笑里はあたしのこの想いに気がついているみたい。
あたしさえもきづいていないこの気持ちに。
この気持ちの正体…あたしにも分かる時が来るのかな?
気がついた時、あたしと友恵とどうなるんだろう…
もしかしたら…あたしはそれが怖くて、気持ちにふたをしているのかもしれない。
友恵の涙をあたしは見たくないし…
傷つけたくない。
「恋って…そういうものだよ」
何も言えないでいるあたしに、笑里はそっとそう言った。
あたしは深いため息をつき、電話を切った。

