頬に何かが流れる感覚がある。
涙だ。
龍くんの前で泣かないって決めたのにな…。
「ごめんね、こんなこと言って…」
龍くんがどうしたらいいかわからない顔をしている。
そんな顔させたかったんじゃない。
ただ、あたしの想いに気がついてほしかっただけなのに…
龍くんの戸惑った顔とか、悲しそうな顔なんて見たくない。
あたしは思わず龍くんから背を向けた。
まるで、龍くんを避けるかのように…。
すると、ふわりと温かい大きな腕があたしを包み込む。
背中からぬくもりと大きな優しさが伝わってくる。
小さい頃から感じていた、懐かしいぬくもり。
「……龍くん?」
「…ごめんな。俺が知らない間に…いっぱい傷つけたよな?そのたびに…笑里は泣いてたんだよな。気づかなくて…ごめん」
あたしは首をぶんぶんと横に振る。
涙で濡れた頬をぐいっと袖で拭く。
「…あたしが勝手に龍くんを想って…傷ついて…泣いてただけ。もう…小さい頃の話だよ。今は…お姉ちゃんと龍くんのこと…本気で応援してるから」
「…笑里は変な所で強がりだよな。それは今も変わってない。…強がらなくていい。泣きたいときは泣いていいんだ。笑里のこと…俺は…何も思っていないわけじゃない。笑里は…大切な女の子だよ」
優しすぎる言葉
それが…龍くんの本音なんだね。
龍くんにとって…あたしは妹じゃない。
恋人じゃない。
だけど…大切な女の子。
あたしは…こだわりすぎたのかもしれない。
龍くんの隣にいれるのに…彼女とか関係ないんだね。
龍くんは…お姉ちゃんと同じくらいに…
ううん。もしかしたら…
お姉ちゃんよりもあたしに優しくしてくれていたのかもしれない。
だとしたら…あたしはこのままでもいい。
だって…龍くんの傍にいれることが…
こんなにも嬉しいから。

