僕らは傷つきながら恋をする。




荒い息
流れる汗
あたしは気にも留めることなく、走り続けた。



病院にいる龍くんの元へ
早くこの想いを伝えたかった。



この想いは龍くんに受け取ってもらえない。
それは分かってるけど…早く伝えたかった。



伝えなかったら後悔する。
龍くんの隣にいなくなれないかもしれない。
それでも…この想いは伝えなきゃいけないから。



あたしはお姉ちゃんの病室の前で立ち止まる。
汗と乱れた髪を直し、コンコンと病室の扉をノックした。



「…はい。笑里?」



扉の向こうから龍くんがあたしの名を呼ぶ。
それが嬉しくて嬉しくて…泣きそうになった。
まさか、あたしだと分かってくれるなんて思っていなくて…



あたしは扉をガラッと開け、病室にいる龍くんに微笑みかけた。



「よくわかったね」



「ノックが笑里ぽかったなって」



「なんか…嬉しいなぁ。はい、お花。さっき買って来たんだぁ」



あたしはさっき買ったばかりのお花を龍くんに渡す。
病院に向かっている途中で見つけた小さなお花屋さん。



そこで咲いている花が気になって…
ふと足を止めた。



木香薔薇(もっこうばら)
黄色や白色の小さな薔薇の花



それだけだったらいつも『可愛い』で終わっていた。
気になってしまったのは、木香薔薇の花言葉



【あなたにふわさしい人】
【初恋】
【幼い頃の幸せな時間】



その花言葉があたしに似ていた気がした。