僕らは傷つきながら恋をする。




体育館であたしは前のほうに座っている友恵をちらっと見た。



友恵の横顔からは何を考えているか、読めなかった。
あたしは小さく、聞こえないように溜め息をついた。



すると、ツンツンと誰かに肩を突っつかれる。
あたしは後ろを振り返った。



するとそこには、可愛い、リスのような女の子が笑みを浮かべてあたしの肩を突っついていた。



「溜め息ばかりだね。せっかくの高校生活なのに、楽しくないの?」



その娘の声は、女の子らしい声だった。
普通よりも高めの声があたしの耳に響く。



声をひそめているはずなのに、良く通る声だった。



「そうじゃないよ。ただ…友達を怒らせちゃっただけ。あたしが悪いんだよ」



気付けばあたしはその娘にさっきのことを話していた。
誰かに聞いてほしかったのかもしれない。



女の子はふーんと真剣にあたしの話を聞いてくれる。
あたしが話し終わると、小さめの唇で言葉を紡ぐ。



「…その娘は怒ってないと思うよ?」



「…へ?」



予想外の言葉にあたしは言葉を失う。
てっきり、「謝ればいいんじゃない?」と呆れられると思っていた。



「ただ、話してくれなかったのが嫌だったんだと思う。幼なじみだから色んなことを話していたんでしょ?それが、さっきは話してくれなかったから寂しかったんだよ。ちゃんと話せばいつも通りになると思うよ?」



「…そうかな」



彼女の言葉には、偽りとかがないと感じられた。
だから、あたしは信じてみたいと思った。