お姉ちゃんは…車にひかれそうになった龍くんを庇って、車にひかれた。
庇ったお姉ちゃんは一命を取り留めたけど、意識が戻らなかった。
それは…今も。
もう…半年経つ。
龍くんはお姉ちゃんが目覚めるのを待っている。
毎日病院に通って…。
お父さんは龍くんの事を恨んでいる。
お姉ちゃんが今も眠っているのは…龍くんのせいだと。
お母さんもお父さんも…
あんなに龍くんを気に入っていたのに…
お姉ちゃんが龍くんを庇って、意識を失くした時…
あの頃のように優しい笑顔を見せることはなかった。
そんな親にあたしは毎日反発した。
『龍くんは悪くない』って。
お姉ちゃんは龍くんの事が誰よりも大切だった。
好きじゃなくて…愛していたんだと思う。
だっていつも…
龍くんの前では幸せそうにしていたから。
お姉ちゃんのあんなに幸せそうな笑顔…初めてみた。
ずっと傍にいたけど…家族にも見せたことはない。
きっと…龍くんだけに見せていたんだと思う。
お姉ちゃんが事故に遭って…龍くんは笑顔を失った。
人の目が怖くて…人の目を見なくなった。
だから…フードを被っている。
クラスのみんなも…親も…周りも…
龍くんは見たくなくて、目を逸らしている。
一時期…あたしと蓮くんの傍を離れた。
あたし達の目を見てくれなくて…
やっと…龍くんは…見てくれたの。
あたしは毎日親を説得して…
お姉ちゃんを想っている龍くんの傍にいた。
辛くなんかない。
悲しくなんかない。
だって…お姉ちゃんも龍くんも…大好きだから。
大好きな人の為なら…あたしは…何でもするよ。

