少しずつだけどあたしの気持ちが変わってきていることに気がついた。
あたしの心には龍くんともう一人、蓮くんへの想いがあった。
蓮くんのこと好きなのかはわからない。
だけど、少しずつ前に進んでいた。
もうこれ以上、立ち止まることなんてないと思っていたのに…
ある日、携帯の着信音が鳴った。
電話に出ると、いつもと違う彼の声。
『…笑里』
暗く沈んだ龍くんの声
何か遭ったのだとあたしはすぐに察知した。
『龍くん?どうしたの?』
『…すぐに病院に来てくれ。笑花が!!』
あたしは携帯電話を片手に家を飛び出した。
いやな予感が止まらない。
龍くんの声でただ事じゃないことは分かった。
でも、信じたくなかった。
お姉ちゃんの身に何かが起こったなんて―――
病院に着くと、まるで放心状態のような龍くんがいた。
『龍くん、お姉ちゃんは?何が遭ったの?』
冷静になりたかったけど、なれなかった。
龍くんの表情は暗くて…語らなくても頭に何が起こったのか浮かびそうで…
『笑花…俺を庇って…』
見ると、龍くんの目から一滴の涙が零れ落ちた。
一度も見たことない、龍くんの涙。
この時、初めてみた。
『今…手術室に…』
ねぇ…どうして?
どうして、こんなことをするの?
神様って最低
どうして…大切な人を傷つけるようなことをするの?
龍くんの涙なんて…見たくなかった。

