「二人から見たら…あたしは蓮くんを利用してるよね」



笑里は悲しそうな表情を浮かべ、下を俯いた。
あたしはそんな笑里をぎゅっと抱きしめた。



「…朱羅?」



笑里は戸惑いながらあたしを見つめる。



「…ゴメンね」



笑里の気持ち…全然知らなかった。
どうして、蓮先輩と付き合っているのに龍先輩が好きなんだろうって…



笑里はずっと想い続けていたんだね。
ずっと前から…龍先輩の事が好きだったんだね。



一途に想い続けていた。
傍にいられるだけでいいって。



お姉ちゃんの彼氏を好きになって…
ずっと苦しんでいたんだね。



それを救ってくれたのが蓮先輩
蓮先輩が笑里の傍にいてあげていたんだね。



「笑里がどうして好きなのか分かんなかった。誤解しててごめんね」



「…いいよ。あたしが悪いんだから」



笑里はやっぱり強いね。
真っすぐで優しくて…強くて。



だから、蓮先輩も惹かれたのかな?



「友ちゃんもごめんね?」



笑里が黙っていると友恵に謝ると、友恵は首を横に振って微笑んだ。



「…謝らなくていいよ。話してくれてありがとう」



普通だったらこんなことを話すなんていやだと思う。
だけど、笑里は話してくれた。



友達だと思ってくれているんだよね?
あたし達の事を信じてくれているから、話してくれたんだよね?



そのことが凄く嬉しかった。