「もしかして…フードを被ってるのも怖いから?」
あたしは踏み込んではいけないところまで踏み込んだ。
いけないって分かってても…
龍先輩の事をもっと知りたいんだ。
龍先輩は苦笑する。
空を見つめる瞳が凄く悲しげで…
子供のように見えて、ギュッと抱きしめたくなった。
「半年くらい前…から…人の目を見るのが怖い。相手に失礼だと分かってても…無理なんだ」
「でも…フードを深く被っていたって、視線を避けれるわけじゃないです」
むしろ、視線を浴びてしまう。
龍先輩はきっと分かっている。
なのに…フードを被ったままでいるの?
龍先輩が抱えているもの…
それは笑里と同じなのだろうか?
何となくだけど…似ている気がするんだ。
ねぇ…龍先輩。
あたし…やっぱりあなたの事を誤解していた。
フードを被っている理由も知らずに…
だけどね、話してくれなきゃ分からない。
笑里だって…話そうとしてくれている。
だから…お願い。
「龍先輩…先輩のこと…話してください」
「なんで…そこまで踏み込んでくるんだ?あんたには…関係ないだろ?」
「関係なく…」
関係なくないっていいたかった。
だけど…本当に関係なくないのかな?
あたしは…自分の気持ちが分からない。
本当に龍先輩が好きなのかも…
ただのお人好しなのかも…
自分で自分の気持ちが分からない。
「関係あったら…話してくれるんですか?」
あたしの唇は無意識にそう動かしていた。
あたしの言葉に、龍先輩は困った表情を見せる。
「いや…話さない。あの二人だけ分かってくれたら…十分なんだ。じゃあ…な」
龍先輩があたしに背を向け、去って行く。
あたしはしばらくその場所に突っ立っていた。
この気持ちは何だろう?
胸が苦しくなるほど、締め付けられている感じで…
先輩の背中を見つめる瞳が微かに潤んで、揺らいでいた。

