「…格好いい」
ぼそっと唇から零れた言葉は無意識で。
不覚にも、そう思ってしまった。
龍先輩のバスケは、全く興味ないあたしでも、引き付けられて…
格好いいと思ってしまった。
「龍くん、格好いい!」
女の子の黄色い声援が飛び交う。
蓮先輩のときとは、全く違う。
あまりの声援に、友恵は口をぽかんと開けていた。
「龍先輩…人気なんだね」
「…みたいだね。あたしも、初めて知ったよ」
龍先輩に投げられる声援は、あたし達が言葉を失うほど。
そこまで人気があるとは思わなかった。
黒いフードを被り、バスケをする龍先輩の姿は確かに格好良くて、思わずあたしも見惚れてしまう。
笑里が龍先輩のバスケは凄いって言ってたのが、頷ける。
確かに凄い。
ボールがまるで、龍先輩の意思によって動いているみたい。
「…凄い」
思わず笑みが零れる。
あたしの呟きを聞いた笑里は嬉しそうに微笑んだ。
「でしょ?龍くんは…キラキラしていて…格好いい。バスケだって…キャプテンに選ばれるくらい凄いんだから…」
そう話した笑里はどこか悲しげだった。
龍先輩を見つめる瞳が悲しそうで…