僕らは傷つきながら恋をする。




ピーッ!!



試合終了のホイッスルが鳴る。
二人の傍に駆け寄りたいのに、足が動かない。



「龍くんっ!」



笑顔の笑里が駆け寄って来る。
龍先輩は優しく笑里の頭を撫でていた。



「お疲れ。負けちゃったな」



「仕方がないよ。強かったもん!…朱羅、どうしたの?」



笑里が首を傾げてあたしを見る。
あたしはぶんぶんと首を横に振った。



「何でもないよ。そういえば、友恵は?」



「部長さんとお話し中」



と、笑里は自分の背後を指差す。
遠くのほうで、友恵とショートカットの女の子が話していた。



「あたしも話してたんだけど、龍くん見つけて抜けて来ちゃった!」



えへへっと笑みを浮かべる笑里
龍は仕方がないなと肩を竦めた。



「部長と話したほうがいいんだぞ、本当は」



「もう、入るって言ったもん!放課後、見学に行こっかなって。龍くんも一緒に行く?」



「そんな訳無いだろ!俺は先帰ってるよ」



「…今日、行くの?」



笑里の表情がふっと悲しみを帯びた、表情に変わる。
龍先輩はふっと笑い、笑里の頭を撫でた。



「心配するな。もう大丈夫だからさ」



「でも…お父さんと会うかもしれないのに…あたしも一緒に行くから…」



「…ありがとな。だけど…笑里に甘えてばかりいられねぇよ」



二人の世界という感じで、あたしはきっと邪魔者。
二人の目にはあたしは映っていない。



取り残されたような…少し寂しい感じがあたしの中に広がる。



二人の会話は誰も立ち入ってはいけないみたいに思えてきて…その場を離れたくなる。



『これ以上、二人の話を聞いてはいけない』
そう直感で感じたあたしはその場を離れようとする。