笑里はどれだけ辛かったのだろうか?
今も一人で泣いてるのだろうか?
あたしは…
「笑里が泣いてる姿を見たくない」
笑里は凄くいい子だから…いっぱい悩んで、苦しんでいるだろう。
「先輩は…笑里のことが好きですか?」
「…好きだよ。妹として…俺を支えてくれた女の子として…大事な子だ」
笑里のことを話す龍先輩はあたしの最初の印象を覆した。
本当に笑里のことを大切に思っているのが伝わる。
「笑里のこと…大切に思ってるんですね」
なんだか、羨ましく思えてきた。
笑里は…こんな人を好きなんだ。
感じ悪い人だと思ってた。
どうしてこんな人を笑里は好きなんだろうって…。
あたしは誤解していたみたいだ。
この人は…心の奥底で、笑里のことを大切に思って…考えている。
何でだろう…
胸の奥に違和感を感じる。
チクリと針で刺されたような痛みが走る。
この…胸の痛みは何?
あたしの異変に気がついたのか、龍先輩はあたしの顔を覗き込む。
「…どうした?」
「大丈夫…です。ボーッとしちゃって…」
胸の痛みは治まった。
きっと、ただの気のせい。
あたしはそう思い込んだ。

