「笑里のこと…教えてください。蓮先輩には…聞けないことだから」
「蓮に聞けないこと…な。とりあえず聞くだけ聞く」
「蓮先輩が言ってたんです。『笑里には色々あったから』って」
初めて蓮先輩に会った時、確かにそう言っていた。
笑里が遮って、結局詳しいことは聞けなかったが、気になっていた。
「色々あったって…どういうことですか?龍先輩なら…知っていますよね?」
あたしが尋ねると、龍先輩はふぅーっと溜め息に似た、長い息を吐く。
「…あんたの友達も同じこと聞いてきた。友恵って子」
「友恵も…?」
もしかして…あの時に?
友恵は龍先輩を追い掛けたように体育館から出て行った。
他に覚えがないから、きっとその時だ。
友恵も気になっていたんだ。
「あの子にも言ったけど…それは俺が話すことじゃないよ」
「で、でも…」
「笑里からちゃんと話す。友達なんだろ?」
友達と言われて、あたしはグッと言葉を飲み込む。
友達なら…ちゃんといつか話してくれる。
まだ友達になってから日が浅いから、笑里は言いづらいだけだ。
『直感で友達になりたいと思った』と笑里は言ってくれた。
あたしは笑里のその言葉を信じたい。
「…分かりました。もうこれ以上聞きません」
「…それでいい。俺から話しても意味ないからな」
「…龍先輩から見て、笑里ってどういう子ですか?」
あたしはふと、龍先輩に尋ねたくなった。
笑里は…龍先輩のことが好きなんだと思う。

