僕らは傷つきながら恋をする。




止めてあった自転車に友恵は跨ぐ。
そして、首で朱羅を促す。



「乗って」



「ごめんっ!」



あたしは一言謝り、後輪に備え付けられている荷台にお尻を乗せる。
友恵は力いっぱいペダルを漕ぎ出す。



友恵の背中につかまりながら、あたしはパンをかじった。



どんどんスピードが上がる。
風が痛い。肌に突き刺さるようだった。
春といってもまだ少し風は冷たかった。



「友恵もうちょっとゆっくり漕いでよ」



「誰のせいで全速力で漕いでると思ってるの!?」



それは悪いと思ってるけど…とあたしは小さな声で呟く。



友恵が急いで漕いでいるのは自分のせいだとそれは分かっていた。
だけど、あまりにも速いスピードに思わず目を瞑る。



キキッとブレーキ音が響く。
あたしがゆっくり目を開けると、友恵は自転車から降りていた。
あたしは慌てて荷台から降りる。



「友恵、ありがと」



「長い付き合いだからね~」



と、友恵は手をひらひらと振る。
自転車置き場に自転車を置きにいった友恵の後ろ姿を横目で見ながら、あたしは掲示板に張られていたクラス表を見つめる。



「えっと…」



自分の名前を目で探す。
すると、ある場所に目が留める。



「あっ…」



「朱羅、あたしと一緒だね」



いつの間にか戻ってきていた友恵がひょこっと顔を出す。
あたしは嬉しくて思わず友恵に抱きついた。



「やった!3年間、よろしくね~!」



「相変わらずね」



と、友恵はいつもと変わらないけど少し嬉しそうだった。
あたし達はいつも一緒だった。



学校に通うのも、お昼を食べる時も…
帰るのも一緒だったし、遊ぶのも友恵とだった。



離れたことが無かった。
もちろん、喧嘩をしたこともない。




言い合いをしたことはあっても喧嘩までいかなかった。
友恵はあたしのお姉ちゃんみたいな存在だった。



いつも真っ直ぐを見て、はっきり物言いをする子
そこがあたしは格好良いと思っていたし、憧れていた。