「そんなことないよ。皆、優勝景品に目が眩んで張り切っているだけだから」
「…蓮くんっ!」
気がついたら、蓮先輩と龍先輩がこちらのほうに歩いてきた。
蓮先輩はにっこりと微笑むと、笑里の頭を優しく撫でた。
「笑里達のクラスも凄いじゃん!今、1位だし」
「蓮くんのクラスのほうが凄いよ。今年も1位とりそうだね」
「どうだろな」
と、蓮先輩は頭をかく。そんな蓮先輩の隣にいた龍先輩は少しつまらなそうに欠伸をする。
「蓮、次女子バスケの決勝だぞ。応援に行かなきゃいかないだろ?」
「そうだったな。えっと…笑里のクラスとだっけ?」
「え…うん。やっぱり…強いよね?」
笑里が心配そうに尋ねると、蓮先輩は頬を掻いて苦笑する。
「まぁ…バスケ部の部長がいるからな。二人には丁度いいかもしれないけど」
「バスケ部の部長と…試合?」
友恵は少し不安そうに呟く。
蓮先輩はコクりと頷いた。
「あいつは後輩だろうと容赦しないから…気をつけてな」
その言葉にあたしは不安になって、チラリと笑里と友恵を見る。