「笑里…本気だね」
髪の毛をポニーテールに結んでいる笑里を見て、あたしはボソリと呟いた。
笑里はふふっと、どこか楽しそうに笑う。
「あたしはバスケと100m走、リレーだからね」
どれも笑里の得意なもの。
そりゃ、張り切るよね。
あたしも100m走とリレーやるけど、あまりやる気ではなかった。
足が速そうという理由だけで選ばれたせいでもあった。
「朱羅は野球やりたかったんでしょ?」
あたしはコクりと頷いた。
どちらかと言うと、あたしは走るよりも野球がやりたかった。
「仕方がないよ…まぁ、一応補欠に入ってるし、運が良ければできるかも」
「だからって手を抜いちゃダメだからね!皆、景品狙ってるんだから」
「景品って…確か焼肉食べ放題だったよね」
これもこの高校の異色なところだ。
景品が豪華過ぎる。
お陰でクラスの皆はやる気満々で、皆をまとめる委員長の友恵は大変そうだった。
「まぁ、焼肉食べたいし頑張るよ」
「朱羅らしいね」
と、笑里はくすくす楽しそうに笑う。
あたしは頬を膨らまし、むくれる。
「それって、食い意地はってるってこと?」
「ふふっ。秘密」
と、悪戯に笑って、笑里は教えてくれなかった。
あたしは気になりながらも、体育祭のプログラムを眺める。