「朱羅」
それは突然だった。
ただぼーっと飲み物の水面を見ていた。
名を呼ばれ、ぱっと顔を上げる。
そこにはあたしの想い人。
「龍先輩…?」
どうしてここに…
その言葉は声にならなかった。
龍先輩は肩をすくめる。
「笑花から聞いた。笑花が悪かったな」
あたしは首を横に振る。
「笑花さん…凄く素敵な人です…話してて…楽しかった」
あたしの想いに気付かせてくれた。
あたしの背中を押してくれた。
「まぁ…悪い奴じゃないからな。そういえば…笑花から朱羅が話したいことがるって聞いたんだけど」
その言葉を聞いて、あたしは言葉を失う。
まさか…そんなことを言うなんて…
あたしの鼓動が速くなる。
「あっ…うん…。ファミレスでよっか…」
「じゃあ、会計済ますか」
龍先輩はひょいっと伝票を取る。
「せ、先輩!伝票…」
「いいよ、俺が払っとくから」
龍先輩。
そういう優しいところが好きです。

