あたしの気持ちを聞いた笑花さんは『そう』と笑みを浮かべる。
ぽつりと話し出す。
「あたしと龍は…ずっと傍にいた。小学校で出会った龍に…あたしは一目ぼれした。目立つ存在ではなかったけど、彼は…あたしにいつも優しさと笑顔をくれた」
くすりと笑う。
その笑みは何処か悲しげだった。
「付き合い始めてから…一層距離が縮まったわ。それがとても嬉しかった。だけど一方で、笑里を悲しませていた…。あたしは…気づいていたの。『笑里が龍のことを好き』ということを」
それは笑里からも聞いていた。
初めて会ったときから好きだったって…。
でも…二人は付き合ってる。
だから…諦めようとしたって…。
「笑里の気持ちに気付いてから…あたしは迷っちゃったの。あたしと龍が付き合っていることは…笑里を苦しめるんじゃなかって。あたしは…笑里のいいお姉さんでいたかった。笑里は…あたしとばかり比べられていて…そのたびに辛い思いをしていたと思う。だから…せめてって…でも…」
笑花さんは目に涙を浮かべていた。
その涙を堪えるように話す。
「出来なかった。あたしは…龍を選んだ。それから…かな?あたしと笑里の間に一線があるような気がしてならなかった。考えすぎかもしれないけど…ね」
笑花さんははぁーっと息を吐き出す。
両手でカップを包み込み、飲み物に口に含む。
落ち着きみたいで、うっすらと笑みを浮かべていた。
「あたしが事故に遭ったのは…それから三年後。その日は…龍と買い物に行っていた。あたしが龍を誘って…二人きりで。どうしても龍と選びたかったものがあったから…」
彼女は鞄の中から小さな箱を取り出す。
その箱は真っ白く、可愛らしく赤いリボンで結ばれていた。
「これは…?」
「その時に買ったもの。全然傷ついていなかったから…吃驚したわ」
真っ白な箱には傷一つない。
とても大切にされたように…

