龍先輩があたしのおでこにふれる。
少しひんやりとして、気持ちよかった。
「痛いか…?」
「…ちょっと」
龍先輩はポケットからハンカチを取り出す。
あたしのおでこの血を拭こうとした。
「あっ…汚れちゃう…」
「いいよ、それくらい」
それが凄く嬉しかった。
思わず笑みがこぼれる。
そんなあたしを見て、龍先輩は眉をひそめた。
「なんで笑ってるの?」
「龍先輩…優しいなって…」
「そりゃ、大事な後輩だからな」
大事な後輩…。
それでも嬉しかった。
龍先輩にとって…あたしはどうでもいい存在じゃなかった。
それが知れただけでも…嬉しい。
ただの後輩でもいいの。
だけど、龍先輩は大事って言ってくれた。
あたしの傷に触れる手が…
冷たいはずなのに温かく感じた。
痛みの涙が…
嬉しさの涙に変わる。

