僕らは傷つきながら恋をする。




「……お姉ちゃんに会う確率なんて低いよ。あたしは家でも会ってるわけだから、学校では会おうとしていないし…。ただ、龍くんに会うなら確率は高くなるけどね」



その言葉を聞き、あたしはふぅと溜め息をつく。



龍先輩には会いたい。
でも、会うと隣には笑里のお姉さんがいる。



「…今日は会いたくないなぁ」



「気を落とさないで。朱羅は考えすぎなの。いつもはそんなのことないのに、こういうときは思いつめちゃうんだね」



「それって…馬鹿にしてるの?」



あたしが唇を尖らせると、笑里はふふっと笑う。
『いつもの朱羅だ』と嬉しそうにする。



「やっぱり…朱羅はその方がいい。悩んでいる姿なんて似合わない。大丈夫!お姉ちゃんに会っても…朱羅なら上手くいくよ」



不思議だ。
笑里にそう言われると、大丈夫な気がしてくる。



笑里の言葉はあたしの心の深くに入り込む。
思えば…笑里の弱いところを見たのは龍先輩に想いを告げるときくらいだった。



今はあたしよりも元気で明るい。
空元気じゃなくて、心の底から。



そんな笑里に言われると…勇気が出てくる。
あたしらしくないなと自覚する。



「…分かった。逃げてばかりじゃダメだもんね」



「いつもの朱羅に戻ってよかった。朱羅らしくいれば、大丈夫」



あたしは頷き、立ち上がった。
さっきまでの気持ちが嘘のよう。



少しだけ、晴れたような気がした。