初めて貴方を見たのは桜の舞う中庭だった。
綺麗な風景の中、一人木にもたれ、何処かを見ていた…それが『あなた』だった。



つまらなさそうな悲しそうな表情があたしの胸を締め付けた。
きっとあの瞬間から、あたしの恋は始まっていた。



自分でも気付かないほどその想いは強くなっていた。
だけど…『あなた』の瞳はあたしを見てくれようとはしなかった。



『あなた』の瞳はいつも、どこか遠くを見ている。
それが悲しくて辛くて…静かに涙を流した。



どうか…『あたし』を見て。
目の前に立っている『あたし』を。



そう秘かに願っていた。



今の『あなた』の瞳には『あたし』は映っていますか?