「私に・・・やらせてください」

こういうぐらいしか、

みんなの役に立てないから

「おい、大丈夫なのか?」

「うん、平気」

「さっき力使ったばっかじゃねぇーかよ」

デカ男くんがやけに

私の事を心配してくれる

そりゃそうか

さっき、私の体にふれて、

私の体の状態がわかってるんだもんね

でも

「空気を浄化したり、
 怪我を治したり・・・
 霊能力者は悪霊を黄泉の世界へ
 送るだけが仕事じゃないんです」

そう、私が今出来る最善を

しなくちゃいけないんだ

私は一歩前に出て、

ゆっくりと目を閉じる

「我名は封印霊能力者なり
 辺りに散らばった、邪悪な魂の欠片よ
 我の元へ終結し、我の中で清き心となれ!」

周りの空気が私の中へと吸い込まれ

また私の中にある、

浄化された空気が出て行った

そして私の体内に外傷はないものの、

頭がずーんと重くなって、吐き気を催す

でも我慢できる程度

そう、この能力者の力は

私の体力の力が主な源であるため

疲れが半端じゃない

思わずよろめくものの、

みんなに心配かけないように

平然を装う

「こ、これでオッケイです」

私が後ろを振り向くと、

みんなポカーンとして

辺りを眺めていた

「空気が正常に戻ったのか」

「すご」

「こんなことが出来るのね・・・
 霊能力者って」

「え、へへ」

ヤバイ、しんどい、でも・・・

「よいしょ、
 お前、がんばりすぎ、
 また倒れたらどうすんだよ?」

また奴は私を背負う

・・・いや、今度は担がれた

肩に片手でひょいっと乗せて

私は反抗することも出来ずに

ただ意識が朦朧としていた

そして次に気が付いたときには

見覚えのある、

奈緒ちゃんの車の中だった

前途遼遠(ぜんとりょうえん)

行く手も道のりも見えないほど遥か遠い

私の青春は友達と恋愛

出会いも恐怖、別れも恐怖

私はマジでビビリなのかも

でも・・・

みんなと仲良くできたらいいなって

思う自分がいる

自分と同じ能力者達

みんなで力を合わせれば、

今日みたいに頑張れそう・・・