「いえ、別にそんなにお腹が空いてる訳じゃないし。ただ夏蜜柑が食べたいなって。さっぱりするし、ビタミンも豊富だから赤ちゃんにもいいんじゃないですか。あ、恭介さんも食べますか?」
俺に夏蜜柑を差し出すが
「いや、いらん。よくそんな酸っぱいもん食えるな」
「この酸っぱさが美味しいんですよ」
「……」
今までそんなに食わなかったのに。
だから旅行に行く前に貰った夏蜜柑がこうして残ってる。
確か帰ったらジャムでも作ろうって云ってなかったか?
そういや、旅館の晩飯の水菓子にグレープフルーツが出ていたな。
コイツ…俺の分も食ってたし、コイツの実家でも俺等が酒盛りしてる時、夏蜜柑を食ってた。
妊娠するとそんなに変わるもんなんかよ。



