「恭介さん、どうかしましたか?」


俺の視線を感じたのか顔を上げて


「何か珍しい物を見るみたいに」


何か珍しい物


確かに、志織の腹に赤ん坊がいると思うと不思議だ。


「ん、何でもない。じゃあ行くか」


「はい」


朝飯を済ませ旅館を出る。


玄関で松山に


「今回はありがとな。お陰でゆっくり出来た」


「ゆっくりしてもらえたならこちらとしてもありがたい。志織さん、また来て下さい」


「ありがとうございます」


女将である優子が



「今度は三人で来てね」


へっ?


志織も優子の顔を見てる。


「藤倉君、志織さんを大事にしてあげてよ。今が一番大切な時だから」


「優子さん」


「お前、何で?」


「藤倉君、伊達に子供を二人も生んでないわよ。それくらい分かります。あなた達男と違ってね」


「……」


「ハハハ…」