「フフフ…嬉しいです」


「ん?」


「恭介さんが妬いてくれるなら嬉しいです。…だって今朝…苦しいくらいに嫉妬しましたから」


「……」


「だから嬉しいです」


「フッ ば~か。帰るぞ」


「はい。あ、恭介さん」


「ん?」


「もう少し歩きたい」


「……」


「よ、酔っ払ってませんから。途中で泣いたり笑ったり…勿論寝たりしませんから」


あの夏の日を思い出してるんだろうな。


「フッ じゃあ電車で帰るか?」


「えっ?」


「お前にあんまり散財さすのは可哀想だし」


散財って…タクシー代くらいありますよ。


「クククク…行くぞ」


先に歩き出す。


「あ、待って下さい」