「嫌な思いしたな」


「…ゥゥ…ヒック」


「俺…気がついてなかった、あの口紅」


「!!」


「電話で嫌な事を…俺と何かあったみたいな事を云われたんだろ?」


「…ゥゥ…ゥゥ…ゥワァァァ…」


涙が一気に溢れ出した。


「ゥゥ…ゥワァァァ…」


泣きじゃくる私を抱きしめて頭を撫でてる。


――





どれくらい泣いていたのか、漸く涙が止まる。


「き…恭介…さん…ご、ごめん…なさい」


「フッ お前が謝る事なんかねえし」


「……」


ソファーに座らされて


「あの口紅な…」


恭介さんが夕べの一部始終…今朝の電話の事も全て話してくれた。