「風邪ひくわよ」


「えっ?」


ホテルに戻って来たけど部屋には帰りづらくて庭を歩いていると


あの人に声を掛けられた。


「こんばんわ…お久しぶりね。私のこと覚えてる?」


「ここんばんわ…はい」


「こんな所にいたら本当に風邪をひくわよ」


「……」


「私の部屋へ行きましょう」


「えっ?」


「いいから」


私の手を優しく取って歩き出した。


――