「いっちょまえな事を云う奴だな」


「社長も誰かに『猿』って云われても笑っていられますか?」


「お前と違ってな、俺は立派な人間だ」


…な、何なのよ、この口の悪さ。


いくら外見はイケメンでも最低じゃない。


「秘書辞めるか?」


「……」


「子猿には無理か?尻尾巻いて逃げるか?」


ニヤリと笑ってる。

く、悔しい。


「辞めません。社長がクビにされるなら別ですが、私からは辞めません」


「ん。じゃあ、悔しかったら子猿から高藤に早くなれ。俺が認められるくらいになったら子猿は卒業だ」


「……」


「水野、引き継ぎを」


「はい。失礼します」


先輩につつかれて、お辞儀をして部屋を出た。





【高藤志織 side 終】