映画館を出て


「恭介さん」


「ん?」


「手…繋いでもいいですか?」


珍しい。


コイツから手を繋いでもいいかなんて…


さっきのが怖かったんだろう。


コイツの手に手を絡めて歩き出す。


目についたカフェに入り


「好きなだけ食え」

「一個でいいです。晩御飯食べれなくなります」


フルーツタルトと紅茶、俺はコーヒー


「恭介さん」


「ん?」


「ごめんなさい」


「何も謝ることなんかない」


「違います」


「ん?」


じゃあ何謝ってるんだ?


「映画…つまんなかったでしょう?」


「……」


「よく寝てましたもん」


「あ、あぁ」


「恭介さんの云うようにミステリーにすればよかったですね」


「そんな事ねぇから」


「……」


「正々堂々じゃんけんして決めたんだから」


「は、はい。フフフ…恭介さん、じゃんけん弱いんですね」


「弱くない!偶々だ」


「へぇ~」


タルトを美味そうに食いながら


「じゃあ次もじゃんけんで決めましょうね」


やけに嬉しそうだ。

面白くねぇ。


コイツからタルトを取り上げ、残りを食ってやった。


「恭介さん…ひど~い」