自転車に封筒と鞄を入れ、これでもかってくらいの早さで漕ぐ。
「裕二の馬鹿〜っ!!」
こっちはお前のせいで、すっごい腰が痛いっていうのに。
つ、着いた。
所要時間5分。
目の前には何十階もある高いビル。
ごくんっ
唾を飲み込み、いざ出陣!
「す、すみませんっ」
受け付けの綺麗な女の人に勇気を出して声を掛ける。
「はい?」
「野田裕二って何処にいますか?」
「裕二?」
ズキン…
え、今、裕二って…
「あ、梨華。」
「…裕二」
後ろから聞こえる声に振り向くとそこには探していた人。
「こ、これ、」
受け付けにいる女の人を気にしつつ、封筒を渡す。

