「泣くな。」
「……っ///」
太くて、がっしりした指が私の涙を掬い、そのまま頬を撫でる。
優しく触れるその手にドキドキする。
「……梨華?」
「………ふぇ?」
触れていた手が離れ、少し頬が寂しくなった。
「……俺の事嫌い?」
「え…」
キライ、ではない。
むしろ好きなほうだ。
真剣な眼差し、
雰囲気、
何もかもが大人っぽくて胸が高鳴った。
「…あ、あたしは」
何を言うか、自分でも分からなかった。でも口が開いたんだ。
………その時。
「あ、梨華。」
後ろから聞こえた自分を呼ぶ声。
振り返りたくなかった。
この声。
「望…」
ゆっくりと振り返ると、そこには思い出したくない、その人が立っていた。

